Memo / レコーディング雑記

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タイトルについて

宮川弾アンサンブルは私が設定を考えた架空の楽団である。
室内楽をベースにした編成でポップスをやるというコンセプトのもと、その編成で演奏するに相応しい曲を作った。
しかし、実際に演奏しはじめると、問題だらけであった。クラシックの楽器は音も大きい。
グランカスタは気分が悪くなるほど唸り、合わせシンバルは耳に残る。
全体の音はいびつで、騒がしい。雰囲気も悪くなる。
人手も足りないので私自身も急遽クラリネットを練習したりする羽目になった。
幸いにして「がちゃがちゃしてるけどかわいい」との評価をいただき今回発売の運びとなったが、楽団員の間での亀裂も修復しがたく、恐らくこれが楽団としての最後のアルバムである。

間違った場所に連れてきてしまったという自戒の念をこめて「pied-piper」という言葉をアルバムタイトルとした。

9年前

そもそもは9年ほど前、演奏形態というより、演奏風景を思い浮かべるところから始まっている。実際に絵も描いてみた。
ドラムセットを置かず、グランカスタやスネアをそれぞれの人間が受け持ち、基本的にはエレキベースも、コントラバスも極力使わない。 (支配力が強く、安定し過ぎると感じたから)ベースパートは曲のチェロが受け持つことがあればテューバやバストロンボーンが受け持つこともある。
低音部には誰もいないこともある。
つまり、曲中の場面場面で最適な楽器がその役割を受け持つことを前提とした。
わかりやすく言うとクラシック音楽的考え方、室内楽的な音環境を思い浮かべるところから始まったのである。そのため電気楽器類は使っていない。

その風景、その音環境に於いて、そしてそこにあつまる人々がどんな曲を演奏すべきか。
そんな特殊な観点に立脚したうえで作曲を始めた。

つまりこのアルバムの曲のほとんどは9年前に書いたものだ。今にしてそれぞれの曲をチェックしてみると、現在私が書く曲よりも格段に簡素で率直である。
しかしながら、それ故の確実な意図と光が存在することを感じた。
今回、幸運にもレコーディング実現にあたり、当初意図したことを再現するよう、極力過去の自分に従った。

音楽など結果がすべてだと思っている。しかしこのアルバムに於いては過程こそが結果なのだ。